リビングで、過去の家族写真に目をやりながら、どこか寂しげな表情で新聞を読む健太郎。旅行のパンフレットを手に、弾けるような笑顔を見せる陽子。机に向かいながらも、集中できず、ため息をつく翔太。スマホを手に、両親との会話を無視し、部屋に閉じこもる美咲。家族旅行を前に、それぞれの胸に、複雑な感情が渦巻いている。 15年前の事故以来、家族との間に見えない壁を感じている健太郎。彼は、家族旅行を通して、過去の傷を癒し、失われた絆を取り戻したいと願っている。 健太郎は、かつて家族で訪れた思い出の地、湖畔の温泉旅館を提案する。しかし、陽子は、美しい海と青い空が広がる南の島でのバカンスを夢見ている。美咲も、SNS映えする写真が撮れる南の島を強く希望する。 南の島に到着した美咲は、美しい景色に目を奪われる。しかし、両親との旅行を楽しむというよりも、SNSで注目を集めるための写真撮影に夢中になり一人で人気の無い海岸線を歩き出した美咲は、いつの間にか道に迷ってしまう。 翔太は、美咲の失踪を知り、自責の念に駆られる。彼は、大学受験へのプレッシャーから逃れるように、部屋に閉じこもっていたことを後悔する。陽子は、必死になって美咲を探す中で、地元のサーファー、海斗と出会う。海斗は、美咲の姿を見かけたと言い、捜索に協力してくれることになる。健太郎は、美咲の失踪をきっかけに、15年前の事故の記憶がフラッシュバックする。彼は、島の奥深くへと足を向ける。 美咲は、海斗とその仲間たちに助けられるが、彼らはただのサーファーではなく、島の秘宝「海の涙」を探すトレジャーハンターだった。美咲が偶然撮影した写真に、秘宝の在り処を示す手がかりが写っていたのだ。翔太は、海斗たちの情報を聞きつけ、美咲を救出するため、彼らの隠れ家へと向かう。健太郎は、島の奥深くで、シャーマンの女性、マリアと出会う。マリアは、健太郎の心の奥底に眠る、家族への愛情と、過去の事故に対する罪悪感を見抜き、彼に「海の涙」の伝説を語り始める。陽子は、健太郎の失踪を知り、不安に駆られる。彼女は、健太郎が自分と向き合うために、一人旅に出たのではないかと考える。 海斗とその仲間たちは、代々島の守り神である「海の涙」を守ってきた一族の末裔だった。彼らは、近年、島の開発を進める企業によって「海の涙」が狙われていることを知り、その守護者として立ち上がったのだ。美咲が偶然撮影した写真には、開発企業の陰謀を暴く手がかりが写っていた。陽子は、健太郎の失踪を機に、彼の過去の言動を思い返す。彼女は、健太郎が仕事に没頭することで、15年前の事故のトラウマから逃げていたのではないかと考える。 翔太は、海斗たちの話を聞き、「海の涙」を守るという彼らの強い意志に共感する。彼は、美咲を守るだけでなく、島の未来を守るためにも、海斗たちと協力することを決意する。陽子は、健太郎が幼い頃に描いた絵を思い出す。その絵には、島の裏側にある小さな漁港が描かれていた。彼女は、健太郎が心の安らぎを求めて、その場所を訪れているのではないかと考え、漁港へ向かう。健太郎は、マリアの案内で、「海の涙」が眠るという洞窟へと向かう。洞窟への道は険しく、危険に満ちていた。 翔太たちは、美咲の記憶を頼りに、険しい山道を進む。彼らは、開発企業の追っ手や、洞窟に仕掛けられた罠をくぐり抜け、命がけで「海の涙」を守ろうとする。陽子は、漁港で漁師の手伝いをしている健太郎を見つける。彼女は、健太郎の変貌ぶりに驚きながらも、彼の真意を問いただす。健太郎は、マリアから「海の涙」の持つ不思議な力と、その力を悪用しようとする開発企業の存在を知らされる。 翔太たちは、ついに「海の涙」が眠る洞窟にたどり着く。そこで、彼らは健太郎と再会する。しかし、喜びも束の間、マリアが突如として豹変する。彼女は、実は開発企業に雇われた偽物のシャーマンだったのだ。彼女は、魔物を召喚し、「海の涙」を奪おうとする。  健太郎たちは、魔物と戦うことになるが、その力は圧倒的だった。翔太は、魔物の攻撃から美咲をかばい、重傷を負う。陽子は、健太郎の姿に、15年前の事故の記憶を重ね合わせ、恐怖に震える。健太郎も必死に戦うが、次第に追い詰められていく。 翔太は、魔物の動きを観察する中で、その弱点を見抜く。彼は、健太郎に作戦を伝え、協力して攻撃を仕掛ける。陽子と美咲は、健太郎と翔太の奮闘に心を打たれる。美咲は、初めて父親の強さに気づく。陽子は、家族を守るという健太郎の強い意志を感じ、彼への信頼を取り戻す。 戦いが終わり、「海の涙」の優しい光が洞窟を包み込む。健太郎は、傷ついた翔太を抱きしめ、美咲と陽子としっかりと手を繋ぐ。彼らは、この過酷な旅を通して、真の家族の絆を取り戻したのだ。 家族旅行を終え、彼らは日常へと戻る。しかし、彼らの心には、南の島での冒険の記憶が深く刻まれている。健太郎は、仕事と家族とのバランスを考え、より積極的に家族との時間を過ごすようになる。翔太は、大学受験への不安を克服し、将来への希望を見出す。美咲は、SNSに依存するのではなく、現実の家族との繋がりを大切にするようになる。陽子は、健太郎への信頼を取り戻し、笑顔を取り戻した。